2013年6月12日水曜日

W3C Developer Meetup Tokyo #w3cdev

先日、W3C Developer Meetup Tokyo というイベントに参加 & パネルに出てきました :)

せっかくなので recap を。。。

===W3Cって何をやっている団体なの?===

W3C とは World Wide Web Consortium の略。ウェブ技術の標準化を多く行なっています。


W3C のサイトのトップページを軽く翻訳しておきましょう :)

http://www.w3.org/

W3C とは、よりよいウェブの未来のために、長期的視点でオープンスタンダードを作っていくためのグローバルなコミュニティです。
The World Wide Web Consortium (W3C) is an international community that develops open standards to ensure the long-term growth of the Web. 
W3C のミッションは、ウェブの可能性を最大限まで活かすため、様々なプロトコルやガイドラインを作り、ウェブが長期的に成長し続けていくようにすることです。
The W3C mission is to lead the World Wide Web to its full potential by developing protocols and guidelines that ensure the long-term growth of the Web. 

===W3C の design principle===

1) Web for All 〜みんなにウェブを〜

誰もがウェブを使うようになり、コミュニケーション、ショッピング、情報共有などありとあらゆることがウェブ上で行われるようになってきています。W3C では、こうしたメリットを誰もが、どんなハード・どんなソフトを使っていても、どんなネットワーク環境でも、どんな言語や文化でも、どこにいても、そして肉体的・精神的な能力に関わらず享受できるようにしたいと考えています。そのため、行なっている活動がこちら:

・ウェブアクセシビリティ Web Accessibility Initiative
・国際化 Internationalization
・モバイルウェブによる社会貢献(医療・教育・政治・ビジネス等) Mobile Web for Social Development

2) Web on Everything 〜何でもネット化〜

携帯電話、スマートフォン、PDA、インタラクティブテレビや様々なキオスク端末など、ネットにつながる端末の種類は増える一方です。それらに対応するために行なっている活動がこちら:

・ネット接続端末 Web of Devices
・モバイルウェブのとりくみ Mobile Web Initiative 
・ブラウザーやオーサリングツール Browsers and Authoring Tools


===W3C のビジョン===

1) Web for Rich Interaction 〜ウェブでリッチなインタラクション〜

ウェブは、誰でも、どこにいても、自由に情報を交換できるコミュニケーションツールとして作られました。ところが、長年の間ウェブはたくさんの人にとって「読むだけのもの」として存在してきました。ブログや wiki の登場によって、ウェブに書く人が増え、ソーシャルネットワークの登場によってコンテンツやパーソナルなウェブの体験が増えました。W3C 標準は、こうしたウェブの進化を支え、そのためのアーキテクチャーやデザインプリンシプルを作って来ました。

・ウェブデザインやアプリケーション Web Design and Applications
・ウェブアーキテクチャー Web Architecture

2) Web of Data and Services 〜データやサービスのウェブ〜

「ウェブとは、リンクされたデータの巨大なレポジトリーである」と考える人もいるし、「ウェブとはメッセージを交換する巨大なサービス群である」と考える人もいます。これらの2つの考え方は補完的であり、どちらの考え方が近いかはどのアプリケーションを使うのかによります。

・XML 技術 XML Technologies 
・セマンティックウェブ Semantic Web
・サービスのウェブ Web of Services

3) Web of Trust 〜信頼性のあるウェブ〜

ウェブにより、我々の行うコミュニケーションはおおいに変化してきました。それに伴い、我々の社会性や人と人との関係性のあり方も変質してきました。人々はウェブ上で出会い、取引上の付き合いやパーソナルな付き合いをウェブ上で行い、時には全くオフラインで会わずにその関係性を続けることすらあります。W3C では、「信頼」とはソーシャルな現象であるということは認識しているものの、テクノロジーデザインによって信用や信頼を醸成することができると考えています。たくさんの活動がオンラインに移行していくにつれ、世界中の様々な団体が複雑なやりとりを行うのをサポートすることが重要になっていきます。

・セマンティックウェブ Semantic Web 
・XML セキュリティ、ウェブオブサービスセキュリティ XML Security, Web of Services Security
・プライバシー Privacy

こうしたウェブの世界を実現するために、創設者の Sir Tim Berners-Lee を中心に W3C の皆さんは世界中で活動しています。


===W3C に対して、日本人はどんな貢献をしているの?===

そこで当然、疑問がわきます。グローバルにウェブの未来の為に活動している W3C って、日本ではどうなの?逆に、W3C の中で、日本のプレゼンスはどうなの?

Tim Berners-Lee は W3Cをボストンの MIT で作りましたが、それ以外にも3個の拠点を作っており、そのうちの一つが日本の慶応大学。日本はとても重要なはず!後はヨーロッパの ERCIM、そして 2013 年に新たに加わった中国の Beihang University。ちなみに次回の W3C TPAC 2013 は中国の深圳で行われるとのこと。 (TPAC とは Technical Plenary / Advisory Committee Meetings Weekのこと。)

そんな W3C と日本ですが、残念ながらそれほど多くの日本人の方や企業が貢献しているわけではないそうで、もっとたくさんの日本の開発者やウェブ企業が標準化活動に協力できたらいいねという希望も踏まえ、このたび初めて日本で、 W3C による開発者向けのイベント「W3C Developer Meetup Tokyo」が開催されたのでした。


===W3C に対して、日本人は今後どんな貢献をしたらいいの?===

W3C の皆さんに日本人がどんな貢献をできるかを聞いてみました。私もパネリストとして参加したパネルの内容ともかぶりますが、 Richard Ishida さんの回答を中心に、Mike Smith はじめ何人かの回答をまとめてみました。

国際化のメーリングリスト(eg. www-international@w3.org)に入ってディスカッションに参加してください。日本の皆さんの考えや、日本ではどんな問題が発生しているのか、どんなことで困っているのかを教えて欲しいです。また、他の Open Web プラットフォーム技術についてもウォッチして、国際化に関係するトピックについて注意してみてください。RSS フィードや Twitter  (@webi18n)はこちら。

- Follow the discussions on the i18n mailing lists (eg. www-international@w3.org), and track other Open Web Platform technologies for internationally relevant topics. Follow our RSS feeds and twitter channels (@webi18n)

。。。たしかに、英語圏では当たり前でも、他の国ではうまくいかないことは多いと思います。言語や文化の問題だったり、原因は色々あるかと思います。縦書とか。右から左に書くとか。指摘しないと気づかないこともあるでしょう。そんなところこそ、「残念でした」で終わらず、新たな貢献のチャンスと捉えられればと思います。

●スペックを読んでレビューし、コメントを国際化メーリングリストやワーキンググループに送ってください。

- Read and review specifications (http://www.w3.org/TR/tr-technology-drafts) and send comments to the i18n list or direct to the Working Group.

●マルチリンガルなウェブを実現するために、各地のローカルな要件があれば教えてほしいと思っています。何か足りない機能があれば、ぜひ提案をしてください。(例えば、電子書籍のワークショップを開いたりしました。日本独自のニーズもありました。)

- Discuss local requirements for the Multilingual Web, and if you identify missing features, find ways to coordinate proposals. (Eg. we held a workshop about ebook requirements this week.)

●ラテン文字以外の言語に必要な機能をもっとブラウザやオーサリングツールに実装するよう、働きかけましょう。

- Use features needed for non-Latin script support and push implementers to include more in browsers and authoring tools.

●国際化したときの機能について、テストを書くのをぜひ手伝ってください。(例えば先週末、Test the Web Forward というイベントを開催しました。わからない言語や文化のテストを書くのは難しいので、ぜひ日本の開発者の皆さんが協力をしてくれると嬉しいです!)

6/18 追記:Test the Web Forward についてのブログ記事も書きました!
Test the Web Forward を開催しました! #testtwf

- Help write tests for international features. (eg. the Test The Web Forward event is running this weekend.)

●オープンウェブ標準技術を使った日本の事例を海外に向けて紹介してください。サービスやデモ、ドキュメントなど、日本でどんな活動が行われているのか知りたいです。

- Show use-cases of the open standard web technologies via service, demo, documents.

WebPlatform.orgHTML5.0 test suite など、W3C のプロジェクトに参加してください。

- Contribute to W3C's projects, such as WebPlatform.org, HTML5.0 test suites.

イベントやカンファレンスに出席して、なんとなく話を聞いて帰宅するのではなく、最低一つは actionable な item があって、みんなが何か一つ踏み出してくれるといいなと最近いつも思っています。上記を引き出すことがパネルのミッションだと私は思っていたので、Meetup にいらした皆さんやこのブログ記事を読んでいる皆さんが何か一つでもやってみてくださったら本望です :)

ちなみに私の後ろにあるディスプレイは、Google Translate を使った同時通訳システムです :)


-photo by html5j-

W3C のワーキンググループは魔法の箱ではありません。どこかで誰かが全部完璧な標準化をやってくれるのではなく、みんなで作るのがウェブです。皆さんが色々な形で参加してくださってこそ、よりよい標準化活動を進めることができるのです。

日本の皆さんの標準化への貢献の一つはコミュニティ活動であるとも言えるでしょう。教えあい、協力し合い、共にウェブを進化させ続けることが重要だと思います。日本のウェブコミュニティは、イベントの数も多いし、人数も多いし、それをボランティアでコミュニティでガンガン回しているところもすごいし、質も高い。お互いに教えあう文化もすばらしいし、最新のテクノロジーにすぐに食いついていくのも日本人の特徴。次のステップとして、ぜひ世界に向けて日本人が活躍できるといいなと思います。」

「日本に英語が苦手な人が多いのは事実です。例えば、今日開催していた Test the Web Forward のランチの時に、英語が苦手でしんどいです。。。という方もいらっしゃいました。でも、各チームに一人はバイリンガルの人がいて、助け合っていました。そして、Test the Web Forward の今までの記録はシアトルの500件だったところを、この東京で 609 件と世界記録を塗り替えることができました。やればできます。みんなで協力してがんばりましょう!

。。。みたいな話をみんなでしました :D
動画はこちら: http://youtu.be/NANVD7jDJD4

===W3C Developer Meetup Tokyo===

パネル以外の W3C Developer Meetup の話も紹介しましょう。

会場に到着すると、パリからいらした W3C の Marie-Claire さん(ドラえもんのコスプレ)とNTT-Comの小松さん(カエルのコスプレ)がお出迎えしてくださいました。彼女は Head of W3C Training です :)

W3C Developers Meetup

入り口には「HTML5 どら焼き」。そして出てきた更に大きい「巨大 HTML5 どら焼き」。

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なんでどら焼きかは、皆さんおわかりですね!

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Marie-Claire さんのご挨拶。


-photo by html5j-

そしてプレゼンタイム。

Web Components, by Mike Smith (W3C HTML Activity Lead)
動画 http://youtu.be/p0dTWA7iHKU


-photo by html5j-

A Camera Mobile Web App, by Tomomi Imura (Nokia) [スライド]
動画 http://youtu.be/e23jBXYcPiE


-photo by html5j-

Testing the Open Web Platform, by Tobie Langel (W3C Testing Lead) [スライド]
動画 http://youtu.be/tO_PbI3aaW0


-photo by html5j-

Web Crypto API: wanna secure your Web apps?, by Virginie Galindo (Gemalto) [スライド]
動画 http://youtu.be/XeCTOwEDScE


-photo by html5j-

CSS3 in Action, demos session moderated by Bert Bos (W3C CSS Activity Lead) with presentations from Alan Stearns (Adobe) [スライド]
動画 http://youtu.be/1clA-GTAzOY

ちなみに Bert Bos さんとは、CSS の父の一人です。


-photo by html5j-

こちらが Alan さん。


-photo by html5j-

JSX (High performance JS game framework), by Kazuho Oku (DeNA) [スライド]
動画 http://youtu.be/3w2n22k-tBg


-photo by html5j-


懇親会突入、そしてライトニングトーク。


-photo by html5j-

ディナーはおしゃれビュッフェ。

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そして html5j ケーキや W3C ケーキ。素敵ですね :D


-photo by html5j-


-photo by html5j-

巨大どら焼き。。。


-photo by html5j-

配信娘のともちゃんを前から横から後ろから。

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W3C の Mike Smith が結婚!Mike おめでとう〜!!

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